各談話室の報告

2016年4月3日 憲法談話室の報告

4月3日午後2時から千葉大宮キリスト教会において第一回憲法談話室を行った。兒島英樹弁護士(船橋第一法律事務所)を講師に、憲法とは何かについて話して頂いて話し合った。
その内容は次の通りである。

1,国民に主権がある憲法
「日本国民は、政府の行為によって再び戦争の惨禍が起こることのないようにすることを決意し、ここに主権が国民に存することを宣言し、この憲法を確定する。」それゆえ現行の憲法は主権が国民にあるという基本原理にもとずいて作成されたものである。

2.憲法は主権者である国民が守ものではなく政治を行う権力者が守るべきものである。
憲法は、権力者が国民の権利と自由を保障し守るために、権力者の上位にあり、権力者に歯止めをかけるものである。この考え方を立憲主義と呼ぶ。
この立憲主義の統治機構として三権分立機構ー国会(立法)と内閣(行政)と裁判所(司法)がおかれている。
しかし、安倍政権はこの立憲主義を勝手に破り、覆し、自らに対する歯止めをはずして、逆に国民の声に耳を傾けず、国民の権利と自由を抑圧する政治を行っている。立憲主義を守るための三権分立機構も安倍政権は、これを牛耳り独裁政治を行っている。このことは3月29に施行された安保関連法に明らかである。

3.それでは憲法と法律との違いはどこにあるのだろうか
憲法は国家権力に歯止めをかけるものであるが、法律は社会の秩序を維持するために国民に歯止めをかけるものである。
ところが、安倍政権はなんと政権が守るべき憲法を法律化し、国民に政権が守るべき憲法を守らせようとしている。このことは2012年に4月27日に決定された自由民主党の「日本国憲法改正草案」にいちじるしく言い表されている。
現行憲法の第13条にはこう記されている。
「すべて国民は個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については公共の福祉に反しない限り立法その他の国政の上で最大の尊重を必要とする。」
ところが、自民党改正草案にはこうなっている。「すべて国民は人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公益及び公の秩序に反しない限り立法その他の国政の上で最大の尊重を必要とする。」
自民党草案には現行の「すべて国民は個人として尊重される」が「人として尊重される」に変えられている。個人の尊重とは人種・宗教・性別をなどを超えて一人ひとりが大切にされる。ということであり、国家は個人のための国家であって、個人の自由と人権とその主体性を重んじる国家である。という意味になる。
ところが「人として尊重される」はどうなるか、いうと個人は人として尊重される、ということですから、人は国家のための人であり、国家に奉仕する人になり、すべての人は戦前戦中に回帰して全体主義に生きる人になるのです。
このことは次ぎに記されている国民の権利が「公共の福祉に反しない限り」尊重される、と「公益及び公の秩序に反しない限り」尊重される、にも明確に言い表されている。自民党改正草案が「公共の福祉」を「公益及び公の秩序に」変えるということは、憲法によって保障されている基本的人権を公益・公序に反しない範囲でしか認めないということになる。言い換えれば、個人の人権対個人の人権という事態が発生した場合「公共の福祉に反しない限り」は両者の調整機能の役割を果たすが、公益・公序の場合は、国家が権力で個人の人権を押さえつけ、従わせる。ということになる。

4.自民党改正草案にある安倍政権の本音
自民党の改正草案104条には「すべて国民はこの憲法を尊重しなければならない。」とある。現憲法では憲法は立憲主義に立ち、主権のある国民が国家権力に歯止めをかけるものであり、国家権力者が尊重し守るべきものでした。しかし、この条文では、憲法は国民が尊重し守るべきものとしています。これは憲法を単なる法律としてしまい、国家が国民の自由と人権を守りこれを保障するのではなく、70年前と同じく国民が国家のために国民の自由と人権を縛り、国家・全体のために滅私奉公を強制させる憲法にしようとしているのである。
また、自民党改正法案の中にはこれ以外にも国民の基本的人権を制限するという視点から98条、99条が新設されている。これは非常事態条項である。これは具体的には,有事や大規模災害が発生したとき、緊急事態の宣言を行い、内閣総理大臣等に一時的に緊急事態に対処するための権限を与えるという定めである。この宣言には国会の承認が必要であるが事後でも足りるとされ、内閣は政令を制定できるし、国民は公の機関の指示に従わなければならない義務が課せられている。この緊急事態服従義務を課している点は立憲主義の精神を明らかに逸脱したものであり、緊急事態という名のもとにインターネットによる情報規制などを含めどのような人権侵害も可能となる条項である。
この緊急事態条項は各国の場合軍隊とセットになっている。戦争をする国は緊急事態条項を持っている。日本は軍隊を持たない。だからこれまで緊急事態条項をもたなかった。今回、東日本大震災を契機に安倍政権は災害対策に名を借りて戦時への備えを進めようとする意図が見える。現に災害対策は
現行法の運用によって十分に対応が出来るため憲法条項を持つ必要性は全くないのだから。

5.まとめ
第一回目はこれ以外に様々なことも話し合った。しかし、今回のテーマについての話し合いは、以上の憲法とは何であり、何でないかが中心であった。今回、わたしたちは憲法は主権者である国民の自由と基本的な人権を国家が守り保障するものであることを学んだ。ところが、国家のために安倍政権はあろうことかこの立憲主義を破壊して立憲主義とは真逆の国民に国家のために滅私奉公をさせる全体主義的な暴政を行い、3月29日には安保按連法を施行し、日本は他国に出掛けて行って隣人を殺し、殺される国になってしまった。はじめに記したように、現憲法は「政府の行為によって再び戦争の惨禍が起こることのないようにすることを決意し、ここに主権が国民に存することを宣言し確定されたものである。」しかし、このままだとこの決意が空しくされ国民主権と国民の自由と基本的人権が剥奪され全体主義の政治が現実のものになる。7月の参院選において自民党と公明党が3分の2の議席を取ることとなった場合は悪夢が現実のものとなる。そこで今のわたしたちがしなければならないことは、自民党と公明党に3分の2の議席を取らせてはならないということである。野党が3分の2の議席を取らせなければならないということである。このために全力をそそごうではないか。
今回、小人数であったが、有意義な談話室を持つことが出来た。感謝している。次回は5月1日(日)午後2時から。テーマは憲法と民主主義。講師は千葉第一法律事務所の藤岡拓郎弁護士である。参加希望者は連絡願いたい。
2016年4月10日
千葉大宮キリスト教会  矢澤新一郎